デッキリスト
エンプティ・ハンドロック by Goro Matsuo
Creatures (4) 4 Bottle Gnomes Spells (34) 4 Dark Ritual 4 Bottomless Pit 4 Ensnaring Bridge 4 Null Brooch 4 Cursed Scroll 4 Paupers' Cage 2 Mox Diamond 2 Nausea 2 Propaganda 2 Terror 1 Vampiric Tutor 1 Phyrexian Furnace | Lands (22) 4 Swamp 4 Quicksand 4 Rootwater Depths 3 Underground River 4 Wasteland 2 Volrath's Stronghold 1 Maze of Shadows Sideboard (15) 4 Chill 3 Dread of Night 3 Perish 2 Lobotomy 1 Gloom 1 Jester's Cap 1 Phyrexian Furnace |
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解説
Null Brooch / 無のブローチ (4)
アーティファクト
(2),(T),あなたの手札を捨てる:クリーチャー呪文でない呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
Ensnaring Bridge / 罠の橋 (3)
アーティファクト
あなたの手札のカードの枚数より大きい点数のパワーを持つクリーチャーは、攻撃できない。
今日のピックアップは「エンプティ・ハンドロック」。
手札をエンプティ(空)にしてロックする…と聞けば、「メガハンデス」のような相手の手札を徹底的に攻め、行動不能にするデッキをイメージしがちだが、この「エンプティ・ハンドロック」は全くの逆だ。なんと、自分の手札を空にして勝利を目指すのである。
基本的にマジックは、自分の手札が多ければ多いほど選択肢や可能性が増えて有利となる。したがって、強力なドロースペルは重宝されるし、これまでの歴史を振り返ってみても、調整を誤ってしまったドロースペルは禁止カードに指定されたりもした。しかし、中には自分の手札が少なければ少ないほどメリットを生み出すカードも存在していて、それらのカードを組み合わせてできたのがこの「エンプティ・ハンドロック」だ。
では、手札がゼロの状態で、どうやって相手に勝つというのか。
まず最初にこのデッキのゴールを説明してしまおう。このデッキの目的は、《罠の橋/Ensnaring Bridge(STH)》と《無のブローチ/Null Brooch(EXO)》を設置してロックを完成させること。《罠の橋/Ensnaring Bridge(STH)》は自分の手札が少なければ少ないほど相手のクリーチャーのアタックを止められるし、《無のブローチ/Null Brooch(EXO)》は(1ターンに一度ながら)クリーチャー以外のスペルを恒久的に打ち消すことができる。ロックさえ完成してしまえば、あとは《呪われた巻物/Cursed Scroll(TMP)》の能力でちまちまと2点のダメージを相手に飛ばせば勝利、というわけだ。
《無のブローチ/Null Brooch(EXO)》はその強力な能力と引き換えに手札を全て捨てなければならないが、手札が0枚であれば全くデメリットにならない(※手札が無くても、0枚の手札を捨てることで起動可能)。そして、ダメージソースである《呪われた巻物/Cursed Scroll(TMP)》は手札が少ないほどその的中率は跳ね上がる。基本的には手札が1枚のときに起動することで、確実に2点のダメージを与えることが可能だ。
しかし、《無のブローチ/Null Brooch(EXO)》の能力は強力だが、タップ能力のため1ターンに1度しか使えないという弱点が。1ターンにカードを連打されると対応できないため、連打できない状況…つまり、序盤からある程度相手のハンドリソースを削っておく必要がある。そのために採用されているのが《底なしの奈落/Bottomless Pit(STH)》だ。序盤から貼っておけば相手の手札をゴリゴリと削り、《無のブローチ/Null Brooch(EXO)》によるロック圏内に引きずり込める。もちろん自分も影響を受けてしまうのだが、どうせ自分の手札は捨ててしまうのだから問題ない。また、《持たざる者の檻/Paupers' Cage(MIR)》はこのデッキの動きとかみ合っていて、《呪われた巻物/Cursed Scroll(TMP)》に次ぐ貴重なダメージソースとしての役割を担っている。
青を足して《プロパガンダ/Propaganda(TMP)》を採用しているのは、当時の環境ではクリーチャーで攻めるデッキが流行していたため。ロック度合いは緩いものの、追加の《罠の橋/Ensnaring Bridge(STH)》のような感覚で使用できる。そのほか、《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond(STH)》はマナ加速兼自分の手札を減らすのに役立つため、このデッキには適任と言えるだろう。
さて、ミドルスクール環境での「エンプティ・ハンドロック」を考えてみよう。
前述したが、このデッキのキーポイントは《無のブローチ/Null Brooch(EXO)》設置までの間に「どれだけ相手の戦力を削ぎ落せるか」だ。したがって、序盤から1:2交換を狙っていける、《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach(FEM)》や《呆然/Stupor(MIR)》などの採用が望ましい。
クリーチャー枚数が少ないことを利用して《悪疫/Pox(ICE)》を採用する案もあるが、小回りが利かず、デッキ自体が「シュナイダーポックス」に寄ってしまうため、できればオリジナルの型を残してあげたいところだ。なお、このリストでは《プロパガンダ/Propaganda(TMP)》のために青をタッチしているが、赤を足してプリズン型にする選択肢も。また、手札を捨てる⇒墓地が肥えやすい性質を利用して、《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer(TOR)》をダメージソースとして採用したり、《炎の印章/Seal of Fire(NEM)》《破滅の印章/Seal of Doom(NEM)》などの印章シリーズも相性が良い。最適な対象がいなくとも、とりあえず置いておいて手札を消費するのを助けてくれるからだ。
スロットがあるか怪しいところだが、「相手の墓地の枚数が肥えやすい」「罠の橋に引っかからない」というメリットを利用して、《罪を与えるもの/Guiltfeeder(JUD)》をフィニッシャーとして採用するのも面白い。
参考
エンプティ・ハンドロック by Goro Matsuo
日本選手権98:ベスト8