【MTGカード偽造問題】フェイク品(偽物)に騙されるな!カードの見分け方、必要な道具まとめ

投稿日:2019年7月16日 更新日:

 

マジックにおける「フェイク」とは?

 

今回は視点を変えて、偽物のカード、通称「フェイク」品について語ろうと思います。

マジックにおけるフェイクの歴史は古いです。それもそのはず、紙切れ1枚が数十万、更には数百万になったりする世界ですから、製造コストが安価なトレーディングカードは格好の餌食となります。「贋作を作る側」に立って考えてみれば非常にコストパフォーマンスに優れているジャンルなわけで、非常に残念なことではありますがこれを狙わない手はまぁ無いですよね。

 

フェイクへの対策として、マジックでは『基本セット2015』よりカード下部に偽造防止のホログラムが設けられるようになりました。しかし、以前は一目見ればすぐに判別できたフェイク品は、今やその技術力を高め、ホログラム付きの新枠カードやMasterpiece シリーズを含むFoilカードすら偽造しています。悲しいことですが、マジックにおけるホログラムは偽造防止の絶対的な防止策にはなりません。その理由は、ホログラムの材料が安価で調達できてしまうから。例を挙げると、1万円札のホログラムを1から偽造しようと莫大なコストが掛かりますし、現物から調達しようとすると同額の1万円札を犠牲にしなくてはならず、割に合いません。

しかしマジックならば…?

高額な天野リリアナを偽造するために、ストレージの10円レアからホログラムを調達すればほとんどコストは掛からないと言っていいでしょう。

 

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紙のマジックを蝕む「フェイク」

 

この技術力の急速な向上の理由は、近年の下環境の主要なカードの需要が増え、軒並み高騰していることが原因だと思います。特にレガシーでの必須カードであるデュアルランドの高騰っぷりをイメージして頂けるとわかりやすいはずです。こうしてカードの市場価値が上がってしまうと、フェイク品の製造者はより利益を生み出せるようになるので、彼らはより一層フェイクカードを製造する技術力を磨いてきます。

加えて言うと、今やフェイク品は高額カードだけに留まりません。最近では下環境のカードだけでなく、スタンダードの1000円程度のカードですらフェイクが存在するという状況です。

 

普段からマジックに触れ、ある程度目の肥えているプレイヤーやコレクターの方であれば見抜けるものも多いですが、昨今では「MTGアリーナ」の普及でご新規さんも増えていますし、Youtubeの普及などでライト層もかなり増えてきました。

 

この世からフェイクを根絶するのは難しいですが、自衛のためにまずは一人一人が正しい知識を身につけて、きちんと見分ける「眼」を持つことが第一歩なのかなと考えています。

そこで、当サイト:「紙束MTG」でも簡単なフェイク品の見分け方を初心者向けに解説することにしました。すでに他サイト様でも取り上げられている内容ではあると思いますが、何を揃えてどう確認すればよいのかをゼロベースでわかりやすく書いたつもりです。もっとフェイクを見破る技術が広まり、フェイク品の被害に遭ってしまうマジックプレイヤーを一人でも多く減らせたらいいなと思っています。

 

 

 

用意するもの(道具)

 

【用意するもの(三種の神器)】
・ライト
・顕微鏡(ハンディタイプのマイクロスコープなど)
・電子はかり

【あると便利】
・ブラックライト
・デジタルノギス(カードを傷つける可能性があるので要注意)
・デジタルマイクロメータ(カードを傷つける可能性があるので要注意)

 

まずは三種の神器(と勝手に呼んでいる)、「ライト」「顕微鏡」「電子はかり」の3つを揃えることをお勧めします。ライトはまだしも顕微鏡や電子はかりなんて持ってねーよと言われそうですが、ゼロから全部揃えても5000円から6000円といったところです。一度揃えておけばずっと使えるので、安心を買うつもりで購入しておきましょう。

その他、あると便利なのは「ブラックライト」「デジタルノギス」、そして「デジタルマイクロメータ」です。

 

後述する各項目で具体的なオススメアイテムも載せておくので参考にしてください。

それでは具体的なフェイクチェックの手順に進みましょう。

 

 

 

 

①ライトチェック

 

まずは定番、ライトチェックです。作りの粗い、所謂「貼り合わせ」で偽造されたカードを見分けるのに役立ちます。私は「GENTOS(ジェントス) LED懐中電灯:閃シリーズ」を使っていつもチェックしていますが、スマホのライトでも十分代用可能です。閃シリーズはコンパクトながら非常に明るいので、緊急時や夜間の外出などでも役立つアイテムです。

このライトチェックの利点は、出先でも簡単にチェックできること。最も手軽でおすすめできる方法です。

 

 

まず覚えておくべきポイントとして、マジックのカードは表面、裏面の間に「青い紙」が入っています。単なる紙を挟み込んでいるのか、紙の製造上の「多層すき」による影響で青色の層ができるのかはわかりませんが、カードの裏からライトを照らすことでこの青色の紙が透けて見えます。

貼り合わせで作られたフェイク品の場合はこの青い紙が見られなかったり、糊付けの都合上、糊の塗布量が均一でなかったり、そもそも光を投下しない場合があります。また、通常は青紙のまだら状の模様がムラなく見えるはずです。伝わりにくいので写真をお見せします。

 

本物:青い紙が透けて見える

 

まず、本物の方から。光をきちんと透過していますし、青紙も中に入っていて、まだら状のパターンが確認できます。

 

 

フェイクNo.1:青い紙が入っていない

 

 

フェイクNo.2:青い紙が入っておらず光の透過量が少ない

 

続いてフェイク品の方も見てみましょう。先ほどの本物と同じ距離だけライトを離して照らしていますが、②は光の透過量は十分なものの、青い紙が確認できません。また、③は透過量はゼロではないですが、全体的に透過量が弱いです。また、こちらも青い紙が入っていません。シンプルな確認方法ではありますが、作りの粗いカードであれば意外とここで弾けます。

 

 

ただし例外として、フェイクでなくとも一部言語の『イクサラン』収録の両面カード(非Foil)は製造側のミスで青紙が入っていません。比較的新しいカードになりますが、これらのカードは光の透過量が明らかに異なる場合があるので覚えておきましょう。

 

【チェック項目】

・青紙は入っているか?
・光を通すか?
・光の透過量は均一か?
・青紙のまだら状の模様がムラなく見えるか?

 

 

 

 

②ブラックライトチェック

 

こちらもライトチェックの分類に入りますが、使用する道具が違うので分けて書いておきます。

マジックの印刷には蛍光インクが用いられており、「ブラックライト」で印刷面を照らすことで発光します。粗悪なものであればこのチェックで弾けます。

 

 

私が使用しているブラックライトはAmazonで1000円弱。あまり一般家庭では見られない道具かもしれませんが、実はUV硬化樹脂の硬化にも用いられているので、ご家族にネイルアートなどをやっている方がいれば聞いてみるのもいいかもしれません。カードの製造時期によってブラックライトを当てた際の発光具合は異なりますが、発光の有無だけではなく、発光していても異常な感光がないかも合わせて確認しておきます。

 

※左が本物、右がフェイク

 

 

残念ながら用意できたフェイク品ではブラックライトを当てても全く発光しないカードはありませんでしたが、上の写真のように本物と比較して発光具合が大きく異なるカードは確認できました(右側のフェイク品は全体的に発光が弱く、Mの文字周辺が汚いです)。ただし、本物であっても印刷会社や印刷時期によって発光具合は若干異なるので、ここでは全く発光しないカードを弾く、と考えていいかも。

 

また、例外として、特殊インクを使用して印刷された「オルターネイト4th」と呼ばれる『第4版』の一部のカードのみはブラックライトで感光しないので注意。

 

【チェック項目】

・印刷面(表・裏)のインクがブラックライトで感光するか?
・通常のカードと比べて異常な感光が見られないか

 

 

 

 

③スコープ(顕微鏡)チェック

 

要はカードを拡大して印刷の品質をチェックしましょう、ということです。最も手軽な方法はスマホに取り付けるクリップオンタイプの拡大レンズ(マクロレンズ)を使用する方法で、安価で持ち運びにも便利です。

しかし、ここでは自宅で腰を据えて確認する方法ということで、「USBマイクロスコープ」を使用してチェックすることをお勧めします。理由としては拡大倍率を簡単に変えられるということと、スマホに取り付けるレンズに比べて遥かに高倍率なものが多いからです。私がアマゾンで購入した以下のモデルは2,000円程度で最大倍率1000倍を謳っていて、性能としては十分過ぎました。参考として、確度の高いチェックを行うに当たって600〜1000倍の倍率は欲しいところです。

 

 

さて、肝心のチェック項目ですが、ざっくり言ってしまうと印刷のドットパターンをチェックする方法と、カード側面をチェックする方法があります。ドットパターンとはなんぞや?と疑問に思う方が多いと思いますが、マジックの印刷は色のついたインクのドットの集合体から出来ています。

早速拡大して見ていきましょう。

 

本物のカード裏面:MAGICの「M」の文字を拡大(200倍程度?)

 

 

本物のカード裏面:更に倍率を上げた状態(1000倍)

 

 

フェイクのカード表面:1000倍(ドットパターンが不鮮明)

 

 

フェイクのカード裏面:1000倍(ドットパターンが不鮮明)

 

このようにマイクロスコープでマジックの印刷面を拡大してやると、印刷面は無数のインクの点から成っていることがわかると思います(網点)。通常の印刷と比較して、このパターンが崩れていないか、不鮮明でないかなどをチェックしていきます。他にも、同じカードを複数枚所持している場合は拡大倍率を下げて細かなフォントの違いなどを確認できるとなお良いです。上記のフェイクの写真では、ドットが不鮮明でぼやっとしており、きれいなパターンが作られていないことがわかります。

 

 

続いてカードの側面をチェックする方法です。先述したようにマジックのカードに使われている紙は三層構造になっているため、カード側面を拡大すると白・青・白の地層のような色合いになります。また、本物であれば青色の層はカードの中間に来ます。紙を貼り合わせていると、この三層以外に余計な層が出来ていたり、青色の層が中心から大きくずれていたりするので要チェックです。ライトチェックで青色の紙がわかりにくい場合は、こちらの手法で確認するとわかりやすいと思います。

こちらも拡大して見ていきましょう。

 

 

本物のカード側面:青紙が中央に位置している

 

 

フェイク品No.1のカード側面:青紙が入っておらず、代わりに黒紙の層が中央に見える

 

 

フェイク品No.2のカード側面:中央に青色の紙が入っておらず、真っ白な状態

 

 

手元に集めたフェイク品を確認していったところ、青紙の代わりに黒紙が入っていたり、中央に紙が入っていないものも確認できました。カード側面にピントを合わせるには少々コツが要りますが、視覚的にわかりやすい検査なのでやって損はないです。

 

また、スコープ(顕微鏡)チェックの利点として「インクド」と呼ばれる傷・ダメージ隠しのテクニックも見抜けるのは大きいです。

フェイクとは少し離れてしまうのですが、「インクド」とは簡単にいうとカードが痛んで白くなっている部分を油性ペンなどで塗り潰してしまうことです。特にマジックの古いカードは黒枠が重宝されるので、ちょっとしたダメージを巧みに隠すことで、状態を良く見せようとしているケースが多いです。肉眼ではわからないことも多いですが、スコープチェックを行うと明らかにドットパターンが崩れるので、すぐに判別できます。

 

【チェック項目】

・ドットパターンが崩れていないか(不鮮明でないか)?
・側面が白/青/白の3層構造になっているか?
・青色の層が中央からずれていないか?

 

 

 

④重量チェック

 

その名の通り、カードの重さを測ります。一般的に非Foilのカードであればマジックのカードの重量は1.74~1.75g程度と言われています。

カードが印刷された時期や、計測時の環境(主に湿度)によって多少前後しますが、概ね1.7g〜1.8g程度と考えて良いでしょう(Foilは約1.9〜2.0g)。試しにいくつか家にあるカードを測ってみましたが、大体この幅に収まっていました。ちなみに、夏場は湿度が高いため、空気中の水分を含んで若干重めに出る可能性が高いです。気になる方はタッパー容器に乾燥剤とともにぶち込むか、カメラ機材用などで重宝する防湿庫に入れてから測るとより正確な値が得られると思います。

使用する機材の精度としては、0.01gまで読めることが必須条件です。私が使用している「電子はかり」はアマゾンで1000円弱でした。ハンディタイプで持ち運べるのも嬉しいです。

 

 

本物:1.71g(防湿庫に24時間入れてから測定)

 

 

 

フェイク:1.90g(防湿庫に24時間入れてから測定)

 

 

【チェック項目】

・重量が1.7g〜1.8g程度か?(Foilであれば1.9g〜2.0g程度)

 

 

 

⑤寸法チェック

 

主に見るのは「カードの寸法(サイズ)」と「厚み」です。カードの寸法はデジタルノギス、カードの厚みはデジタルマイクロメーターという測定器具で計測します。測定精度としてはノギスは0.01mm、マイクロメーターは0.001mmは最低限欲しいところ。

マジックのカード寸法は約63mm×88mm、厚みは約0.31~0.33mmです。

ただし、これらの寸法チェックは少なからずカードに直接測定器具を接触させるため、取り扱い方によってはカードを傷つけてしまうリスクがあります。取り扱いに自信の無い方はこのチェックは控え、前述したスコープチェックなどを優先することをお勧めします。

 

 

人間の感覚(触覚)というのはかなり敏感で優秀なので、手で触っただけで「薄い」か「厚い」かの一時判断は可能ですし、何枚か通常のカードと重ねて束にした際、寸法ズレもある程度は判別できます。上述した測定器は価格が高めということもあり、優先度は低いチェック項目です。

 

【チェック項目】

・カード寸法は63mm×88mm程度か?
・カード厚みは0.31~0.33mm程度か?

 

 

 

 

⑥ベンド(曲げ)チェック

 

ベンドチェックとは、その名の通りカード自体をベンド(曲げる)させることによって判定を行う確認方法です。最初に述べておきますが、カードを直接曲げる手法のため多少なりともカードにダメージを与えます。道具が一切不要という利点はありますが、あくまでも最後の手段であり、自己責任の範囲で行なってください。

 

本物:ベンドした状態

 

 

本物:ベンド後、軽く伸ばした状態

 

 

やり方は簡単。上の写真のように、カードの上下(短辺)がくっつくようにカードを曲げてやります。マジックのカードは若干の弾性をもっているため、上の写真のようにカードを曲げても、その後カードを伸ばしてやれば写真のように元に戻ります。(やり過ぎると本物のカードでもダメージが入るため、力加減が難しいです)

 

 

 

フェイク:ベンド後、軽く伸ばした状態・表面(中央部にしっかり折れ目が付きます)

 

 

フェイク:ベンド後、軽く伸ばした状態・裏面(中央部にしっかり折れ目が付きます)

 

 

しかし、フェイク品はどうでしょう。同じようにフェイク品を曲げてやると、写真のようにくっきりと折り目が付いてしまい、カードを伸ばしても元の状態には戻りません。(この原因はライトチェック、スコープチェックの項目で述べたフェイク品の「紙の作り」に関係すると言われています。)

 

こちら、5枚のフェイク品のベンドテスト動画も投稿しておりますのでご覧ください!

 

 

 

【チェック項目】

・カードをベンドしても、弾性で元に戻るか?(折れ目は付かないか?)

 

 

 

⑦その他のチェック

 

その他のチェック方法としては、「表面/裏面の質感」「印刷されたインクの香り」「コーナー部の処理」を確認する方法などが挙げられますが、どれも場数を踏まないと判断が難しいためここでは割愛します。

 

 

 

 

最後に

 

沢山のチェック項目を駆け足で解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

本来であればこのような記事をアップしなければならないこと自体、コミュニティとしては非常に残念なことです。しかし、冒頭の文章の繰り返しになってしまいますが、フェイクを根絶していくためにはまず一人一人が「フェイクを見抜く目」を持つことが大切です。この記事が少しでも多くの方の目に留まり、フェイク品による被害をひとつでも減らせたらと願っています。

 

また、今回の記事を執筆するに当たり、フェイク品の現物や情報を提供してくれた友人達、並びに素晴らしい解説記事を遺してくれた先人のマジックプレイヤーの方々に厚く御礼申し上げます。

 

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