広がる「アート・カード構築」の世界
「アート・カード構築」。それは、『モダンホライゾン』で初登場したアート・カード(当時はイラストコレクション名義でした)を用いてデッキを構築して戦う超非公式フォーマットです。
テキストはおろかマナシンボルさえも失った代わりに得たのは、カードの面積いっぱいに広がった美麗なアート。限界まで無駄をそぎ落とした姿の前には、『コレクター・ブースター』などで入手可能な拡張アートのカードが陳腐なものに見えてしまうほど(見えない)。完全なる究極のフルアートで彩られた盤面は、さながらタロット占いをしているような、幻想的な空間を創り出します。
●アート・カード構築についての詳しい情報はこちら
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全てがテキストレスの世界。『MTGアートカード構築』:パーフェクトガイド
『アートカード(イラストコレクション)構築』とは? 『モダンホライゾン』で初登場した、「イラストコレクション」と呼ばれるカードはご存じでしょうか?最近では「アートカード」と ...
「アート・カード」を入手する方法としては、『モダンホライゾン』を除けば、現状「セット・ブースター」を買うしかありません。これまで「セット・ブースター」の存在意義について疑問を持っていた方も、非公式ながら特殊フォーマットのカードが入手できるのはここだけ…と考えれば評価が変わるかもしれませんね。
余談ですが、特に『ストリクスヘイヴン:魔法学院』は「コレクター・ブースター」産のFoilと「ドラフト・ブースター or セット・ブースター」産のFoilが明確に区別されていて、後者の日本語版限定アートのミスティカルアーカイブFoilは高値が付いています。《時間のねじれ/Time Warp》のFoilを狙いつつ、アート・カードも入手できるので、これはもう最高のパックと言えるのではないでしょうか。
ここまで読み進めたプレイヤーの皆さんであれば、(こんなサイトを見ているぐらいですから)既にアートカード構築向けのデッキを組んでいるか、今にも組みたくてウズウズしているかのどちらかかと思います。失礼ですが、まともなマジックの楽しみ方をしていないですね…?
今回の記事は、そんな貴方にぴったりの内容です。
新セット:『ストリクスヘイヴン:魔法学院』が「アート・カード構築」にもたらした多大なる影響について解説していきます。
そうそう、前回の記事を書いたとき、「アート・カード構築」のフォーマット名は無いのかという問い合わせを頂きました。確かにあまり呼び方が恰好良くないので、ここでは新たに「アーティスティック/Artistic」というフォーマット名で呼ぶことにします。そもそもマジックのカードを使ってすらないスリーブ必須のフォーマット、「アーティスティック」を今後ともよろしくお願いいたします。
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『ストリクスヘイヴン』がアーティスティックにもたらした影響
先に言ってしまうと、今回の『ストリクスヘイヴン:魔法学院』がアーティスティック環境に与える影響は多大なものです!
その理由はシンプルで、今回のアート・カードのラインナップの中には「ミスティカルアーカイブ」のカードが含まれているからです。「ミスティカルアーカイブ」は皆さんご存じの通り、過去の選りすぐりの強力なスペルが収録されており、それらのカードがアーティスティックリーガルとなりました。
まず最初に、青には強力なドロースペルが多く参戦しています。
特にあの《渦まく知識/Brainstorm》が収録されたことは青使いには最も嬉しいニュースのはず!青絡みのデッキにはほぼ必須パーツと言えるカードとなりそうです。箔押しサイン版のものは特に人気が出ると思います。
また、青には《巧みな軍略/Strategic Planning》もラインナップ。カード自体は『カルドハイム』で再録されているカードですが、残念ながらアート・カードとしてはセレクトされなかったため、今回が初参戦となります。《渦まく知識/Brainstorm》と並び、コンボデッキでは重宝されそうです。
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そのほか、青にはカウンターが2枚。
《記憶の欠落/Memory Lapse》と《否認/Negate》という2種類の軽量カウンターを手にしたことで、青らしいコントロールデッキの動きがようやくできるようになりました。どちらも万能なカウンターとは言えないのですが、これら2枚がアーティスティックリーガルとなった意味は大きいです。
コントロール的な動きをするなら、《時間のねじれ/Time Warp》も強力!
ドロー面で青が優遇されていますが、黒にも《血の署名/Sign in Blood》という待望のドローソースが。
ライフルーズというデメリットはありますが、2マナ2ドローという軽量ドロースペルにより黒絡みのデッキの安定度が増しました。
黒といえば、《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》がラインナップに加わっています。
《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》の強力さは言わずもがな、汎用性の高い軽量ハンデスを手にしたことでようやく黒らしい動きが可能に。また、新カード《真っ白/Go Blank(STX)》も収録されているため、ハンデス戦略が現実のものとなってきました。
赤が手にしたものは、最古にして最強、あの《稲妻/Lightning Bolt》です。この1マナ3点ダメージという効率を超える火力は今後出ないはず。赤を絡めたデッキの必須カードになるので、(市場在庫が潤沢なうちに)見かけたら即ゲットです。
火力面では、『インベイジョン・ブロック』期で大活躍した《ウルザの激怒/Urza's Rage》もアーティスティックリーガルに。素のパフォーマンスは打ち消されない3マナ3点とそこまで良くはないのですが、キッカー・コストを支払えばその一撃はフィニッシャー級に。ビッグマナ戦略のフィニッシュ手段として面白いかもしれません。
緑が得たものは《耕作/Cultivate》。
3マナで土地1枚を戦場に出し、1枚を手札に加えるカード。土地を伸ばしつつ次のターンのセットランドも安定させることができるため、3マナ域から5マナ域へ、確実なジャンプアップを可能にします。ビッグマナ戦略には必要不可欠な1枚。
『カルドハイム』には《輝く霜/Glittering Frost(KHM)》が収録されており、組み合わせることでビッグマナ戦略が実現。デカブツを叩きつける戦略も面白いかもしれません。緑絡みのデカブツといえば、今回《ベレドロス・ウィザーブルーム/Beledros Witherbloom(STX)》が収録されていたり。
『アーティスティック』:その他の注目カード
《賢い光術師/Clever Lumimancer(STX)》と《レオニンの光写し/Leonin Lightscribe(STX)》という優秀な軽量魔技持ちクリーチャーがラインナップされています。白の軽いクリーチャーはもう少し種類が増えて欲しいところですが、組み合わせたい軽量スペルは《立腹/Infuriate(STA)》《果敢な一撃/Defiant Strike(STA)》、そして《生きた証/Make Your Mark(STX)》とバリエーションは豊富!
現状「白赤」の組み合わせであれば、魔技を誘発させるための起爆剤は十分に揃っています。いずれも『ストリクスヘイヴン:魔法学院』の「セット・ブースター」を購入するだけで多くのパーツが揃えられるのもよいですね。
そのほか、各種「命令サイクル」にも注目です。
カードプールの狭い「アーティスティック」では、1枚のカードで複数の役割を担うことができるカードは非常に有用です。『ストリクスヘイヴン:魔法学院』のアート・カードには5種類ある命令サイクルのうち、4種がラインナップ。
残念ながら青緑の《クアンドリクスの命令/Quandrix Command(STX)》だけはリストラされてしまっていますが、そのほかの4種は色と役割が嚙み合えば是非とも採用したい強力なカード。特に青赤というカラーリングは《渦まく知識/Brainstorm》および《稲妻/Lightning Bolt》で大幅に強化されているので、《プリズマリの命令/Prismari Command(STX)》は人気が出るのではないでしょうか。
おわりに
というわけで、今回は『ストリクスヘイヴン:魔法学院』のアート・カードについて解説しました。
「アーティスティック」はまだまだカードプールが狭いので、1セット数十枚分が追加されるだけで環境が激変するのが面白いところです。それでは新セットでアート・カードが続投されることを祈りつつ…新たなアートカードが追加された頃にお会いしましょう!