『灯争大戦』収録プレインズウォーカーカード:ファーストインプレッション
《夢を引き裂く者、アショク》は対戦相手のライブラリーからのサーチを封殺する常在型能力を持っています。スタンダード環境でいえば、《灰からの成長/Grow from the Ashes(DOM)》や《迂回路/Circuitous Route(GRN)》などの土地を伸ばす効果を持つカードを咎めるため、ローグデッキにありがちな「土地をたくさん並べて、そこからむちゃくちゃする」動きが封じられてしまうのは大変よろしくないです。ローグデッキ殺しを許すな!
マイナス能力しか持ち合わせていませんが、相手のライブラリーを4枚削った上で墓地を追放できるため、雑に使っても強いカードだと思います。特にリミテッドでは1回の起動で実にデッキの1/10を完全消しとばすわけですから、弱いわけがありません。3マナながら初期忠誠度が5と固いので、最大で4枚×5回起動=20枚ものカードをライブラリーから消せると考えると恐ろしいですね。
しかし、どちらかと言えば下環境で真価を発揮するカードだと思っています。例えばレガシーでのケースを考えると、「土地単」からすれば非常に嫌らしいカードですし、「黒単POX」ではすんなりと居場所を見つけられそうです。また、1ターン目に「暗黒の儀式」→「アショク」と動けば、多くのデッキがフェッチランドに頼っている今、序盤の動きがもたついてしまうデッキは多いと思いです。戦場に出たターンに一度マイナス能力を使っても、「稲妻」1発では落ちないデザインなのも優秀ですね。今回のアンコモンの目玉だと考えています。また、モダンで勢いを増す白青コントロールは「墓地に触れられる」のが強みのひとつでしたが、青黒もこのカードで墓地対策ができるように。青黒コントロールの復権なるか!
新ボーラスとなる《龍神、ニコル・ボーラス》はその強さを語る前に、デザインが素晴らしいです。他のプレインズウォーカーにはない色拘束の厳しさ、そして全てのプレインズウォーカーの能力を使用できる全知全能感。ストーリーのラスボスを飾るにふさわしいカード・デザインです。ありがとうウィザーズ!
能力の方は、やはり戦場に出ている全てのプレインズウォーカーの忠誠度能力を使えるという常在型能力が目を引きます。《テフェリーの誓い/Oath of Teferi(DOM)》で忠誠度能力を2回ずつ使用できる状態にした上で、《狡猾な漂流者、ジェイス/Jace, Cunning Castaway(XLN)》の-5能力を使って新ボーラスのコピーを生み出していくと、ボーラス無限分身コンボ。無限にドローしつつ、相手の手札とパーマネントをすべて吹っ飛ばせます。
特殊勝利をもたらす奥義は-8と重めに設定されているものの、元々盤面に触れられるカードでもあるので難しすぎるということもなさそうです。色拘束が非常にシビアですが、色々てんこ盛りなプレインズウォーカーなので是非使ってみたい1枚。
《太陽の義士、ファートリ》は戦闘時のダメージをタフネスで与えるようになる常在型能力持ちです。スタンダード環境でいえば《策略の龍、アルカデス/Arcades, the Strategist(M19)》や《厳戒態勢/High Alert(RNA)》に近い能力…かと思いきや、この手のカードにはよくある「防衛持ちのクリーチャーでも攻撃できるようになる」一文がどこにも書かれていません。せめて書かれていれば、壁コントロールに居場所があったかもしれませんが…。こちらの新ファートリは「タフネスが高め、回避能力持ちのクリーチャー」で固めたデッキでの採用になりそうです。お前の出番だぞ、《逃亡者、梅澤哲子/Tetsuko Umezawa, Fugitive(DOM)》!!「哲子アラート」がここに来て強化されるかも?
この《太陽の義士、ファートリ》、3マナで初期忠誠度7は脅威に値しますが、その代わりにマイナス能力が-3と大きめです。能力はライフゲインですが、常在型能力を買われてデッキに投入されることが多いと思うので、あくまでも緊急策のようなイメージですかね。一応、タフネス5以上のカードで固めておいて、《輝かしい天使/Resplendent Angel(M19)》を置いておけば4/4天使・トークンを生成するトリガーとして使えたりもできますが。