『モダンホライゾン』プレビュー:ファーストインプレッション
今回のプレビューカードのファーストインプレッションです。段々と『モダンホライゾン』の収録カードが明らかになってきました。現時点でラインナップの半分強のカードが公開されています。多くのキーワード能力の詰め込みっぷりなどを見るに、モダン環境を激変させるセットと思いきや「時のらせん2」なのか!?と錯覚しそうなラインナップです。プレビューカードの1枚1枚から目が離せません!
《挺过风暴》
素で使うと2マナで3点ゲインと非常に寂しい効果のインスタントですが、なんとこれは「ストーム」持ち。2マナのライフゲインの相場は《鎮痛剤/Soothing Balm(MMQ)》や《滋養/Nourish(DST)》を考慮すると5~6点程度。ストームカウント:2で撃てばトントン、3以上で相場を超えてきます。昨今は《グリセルブランド/Griselbrand(AVR)》を筆頭に、ライフを様々なリソースに変換できることもあり、強力なライフゲイン呪文は悪用される傾向にあります。
「グリショール」系列のデッキで採用されている《滋養の群れ/Nourishing Shoal(UMA)》のような使い方も期待できますし、《苦悶の触手/Tendrils of Agony(SCG)》をフィニッシュ手段とした「ストーム」系のデッキに対するアンチカードとしての活躍が期待されます。単純に「バーン」デッキに対するサイドボードとしても活躍が見込め、新たな選択肢のひとつとなりそうです。レアリティが地味にコモンに留まっているのもいいですね。
《反体制魔道士、ケス/Kess, Dissident Mage》
「統率者2017」からの再録です。レガシーでも採用実績のあるカードで 、色拘束が厳しい代わりに墓地にあるインスタントやソーサリーをもう一度使えるようになるアドバンテージの鬼。
除去耐性は持ち合わせていませんが《稲妻/Lightning Bolt(M11)》1発では落ちないタフネスなのは偉いです。このカードが採用されたグリクシスコントロールが誕生しそう。また、コレクション面での話になりますが、これまでFoilのカードしか存在しなかったので非Foilで揃えたかった人もいるのではないでしょうか。
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《エラダムリーの呼び声/Eladamri's Call》
EDHではコンボパーツのサーチ用と悪いことにしか使われていなかったカードですが、このカードも再録によりモダンリーガルに。「マスターズ25」で供給枚数を増やしておき、今回の「モダンホライゾン」で更に枚数を増やしつつモダンリーガルにするという美しい流れ。
「グリショール」系列のデッキで《アロサウルス乗り/Allosaurus Rider(CSP)》を探しにいったり、「ドルイドコンボ」で必要なコンボパーツを探しに行ったりと、採用したいデッキは多いのではないでしょうか。この1枚でクリーチャーコンボデッキが強くなりそうです。
《スランの医師、ヨーグモス》
まさかの人間体の「ヨーグモス」が収録。ウルザと同じく、正式な形でカード化するのはこれが初、心待ちにしていたファンも多いのではないでしょうか。自身も人間でありながら、「プロテクション(人間)」持ちというのがヨーグモスの人柄をよく表しており、フレーバー面で大変グッドです。
能力は強力なサクリ台。「不死」持ちのクリーチャーが2体いれば、ぐるぐるとループを形成して《ヨーグモスの取り引き/Yawgmoth's Bargain(UDS)》のようなドローエンジンとして使うことができそうです。不死持ちであり、戦場に出た際に2点のライフルーズを強要する《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》を絡めれば勝ち。新たなクリーチャーコンボデッキが現れるかもしれません。
《Kaya’s Guile》
布告除去、相手の墓地のカード追放、1/1トークン生成、4点ライフゲインの中から2つのモードを選べるインスタント。双呪持ちのため6マナ払えば全てのモードを選べますが、6マナ払った際の効果としては非常に地味です。反面、3マナで通常通り撃った際の効果は派手さは無いものの堅実で、全体的に腐りにくく汎用性が高いと感じました。
・布告+墓地追放=クリーチャー追放
・布告+4点ゲイン=アグロデッキ対策
・スピリット生成+4点ゲイン=最悪どのデッキが相手でも撃てる選択肢
モードの選択肢からすれば、モダン環境における主流デッキの大半に対して一通り当てられる能力だと思います。「エスパーコントロール」や「白黒トークン」などのデッキを一段階上に押し上げるカードになり得るかもしれません。
《Crashing Footfalls》
「待機」経由で唱えることで4/4のサイ・トークンを2体生成するソーサリー。初手にあると100点ですが、後から引いたり2枚目を引いた際に非常に弱いです。まず通常コストを持たないため、後から引いても即座に唱えられません。昨今のモダン環境を考慮すると、引くのが遅いとせっかく「待機」させても唱えられないまま死んでしまうケースも十分にあり得ます。そして、「待機」のメカニズムとトークン生成の相性が悪いことも問題です。トークンは速攻を持たないため、実質「待機5」と考えても差し支えありません。
全体的にテンポが悪く、複数引いた場合も弱いためモダン環境では使われないでしょう。一応、「ジャンド」における《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(EMA)》経由で唱えてアドバンテージを取りに行けるカードではありますが…。
《冥界のスピリット》
ネザー!ネザーじゃないか!!
「ネザーゴー」で有名な《冥界のスピリット/Nether Spirit(MMQ)》が再録、モダンリーガルに。何度も蘇るとはいえ、ダブルシンボルの3マナ2/2に飛行などの回避能力が付いていないのは旧時代のクリーチャーの「質」を感じさせますが、思い出補正も含めて嬉しい再録です。
残念ながら、モダンでこのカードを使えるデッキは少なく、現状「Pox」か「8Rack」ぐらいでしょうか。墓地対策が飛び交うモダン環境での活躍は厳しそうですが、新セットでカードパワーがひたすらに弱いカードを新規収録するよりは、こうした懐かしのカードを同窓会的に再録してくれた方が個人的には嬉しいものです。
《Collector Ouphe》
《無のロッド/Null Rod(WTH)》を内蔵した緑の2マナクリーチャー。2マナ2/2の「熊」に持たせていい能力なのですかねこれは...!?
複数の環境にまたがって使われそうなカード。モダンでは「親和」や「トロン」系列のデッキに刺さりますし、ヴィンテージでも「サバイバル」のサーチ対象として採用されそうです。もちろんEDHでは突っ立っているだけで多くのカードを封殺。また、緑のクリーチャーという点が凶悪。レガシーでは《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith(MBS)》からサーチしてくることができますし、モダンでも《集合した中隊/Collected Company(DTK)》から繰り出せるのは非常に強力です。