全てがテキストレスの世界。『MTGアートカード構築』:パーフェクトガイド

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『アートカード(イラストコレクション)構築』とは?

 

『モダンホライゾン』で初登場した、「イラストコレクション」と呼ばれるカードはご存じでしょうか?最近では「アートカード」という呼ばれ方をしているので、こちらの方が馴染みがあるかもしれません。

アートカードは、カード面積いっぱいのフルサイズで美麗アートを眺められるカードで、まだ歴史が浅いアイテムにも関わらず、多くのコレクターに受け入れられています。この記事を書いている2021年現在、『モダンホライゾン』『ゼンディカーの夜明け』『カルドハイム』の3つのセットでアートカード(イラストコレクション)が登場していますが、「MTGアートカード構築」は文字通りこれらのカードを用いてデッキを構築して楽しもうというものです。

 

 

構築ルールとしては以下。

現状2つのルールのみなのでとてもシンプルです。

【アートカード構築のルール】

・「イラストコレクション」または「アートカード」のみで60枚以上のデッキを構築

・モードを持つ両面カードは第1面/第2面の両方がラインナップされているカードのみ使用可

 

既に当サイトでは『広告カード構築』という虚無オブ虚無のフォーマットについて解説しておりますし、こうした「マジックの正式なカード以外のカード」をゲームカードとして用いることについては皆さん耐性が付いていると思います。というわけで特にケアなく進めていきますが、こうした経験が初めてな方は、寝起きの一発目や睡魔に襲われたときなど、正常な判断ができないときに読み進めてくださいませ。

 

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『アートカード(イラストコレクション)構築』の歴史(誕生編)

 

前述した通り、『アートカード/イラストコレクション』自体は2019年6月の『モダンホライゾン』で初めて登場しました。

『モダンホライゾン』登場直後、すでにアートカードをゲームカードとして利用しようとする(奇特な)動きはあったものの、その初期ラインナップは54種類。お世辞にもカードプールが広いとは言い難いものでした。そして、最も致命的だったのは、その54種類の初期ラインナップの中に、土地カードが非常に少なかったことでした。

 

ここで、『モダンホライゾン』リリース時の土地カード(+マナソース)のラインナップを見てみましょう。

 

《冠水樹林帯(MH1)》
《無声開拓地(MH1)》
《虹色の眺望(MH1)》
《モックス・タンタライト(MH1)》

 

以上4枚が初期のマナソースでした。

ラインナップからもわかるように、初期環境では赤マナは《モックス・タンタライト/Mox Tantalite(MH1)》で賄うことしかできませんでした。運よく最速1ターン目から設置できたとしても、待機明けまでのラグを考慮すると少なくとも4ターン以降でないと赤いカードは使えないというわけです。

なんだ、《虹色の眺望/Prismatic Vista(MH1)》があるじゃないか!…と思っても、基本地形が存在しないためにこのカードはイラストコレクション構築界隈において実質「死にカード」として認知されていました。悲しい…。

 

結局のところ、『モダンホライゾン』リリース後の環境では土地カードは2種類、《モックス・タンタライト/Mox Tantalite(MH1)》を含めても3種類しか存在しなかったため、それらをフル投入しても12枚にしかなりません。これはリミテッドの土地枚数(約17枚)にすら届かない数字であり、フォーマットとしては成り立たない、致命的な弱点となっていました。

 

どうしてもアートカードを用いて遊びたい有志達は、苦肉の策として「基本土地だけは代用OK」とするなど、かなり苦しい独自のルール整備をしていました。

 

 

 

『アートカード構築』の歴史(ゼンディカーの奇跡編)

 

月日は流れ、2020年9月。『ゼンディカーの夜明け』のリリースにより、アートカード構築に奇跡が起こります。

『モダンホライゾン』リリースから1年以上経ち、人々がイラストコレクションの存在を忘れかけていたそのとき、新しい風が吹き荒れました。そう、「セット・ブースター」によるイラストコレクションの復活です。てっきり『モダンホライゾン』の単発企画と思われていたイラストコレクションが「アートカード」に名称を変え、帰ってきたのです!

 

枚数も全81種類と前回の約1.5倍にボリュームアップし、カードプールが大幅に増加。

更に、アートカード構築は偉大なる武器を手に入れることになります。

 

 

 

そう、待望の「基本土地」です。

それも、イラスト違いのバリエーションまで用意してきています。5種類の基本地形が一気に投入できるどころか、自分好みのイラストの土地を選んでデッキに投入できるというこだわりまで反映可能になっています。これにより、「赤のカードが使えない」という問題と、「土地の絶対数が足りない」という2つの問題が一気に解消。

ようやく「アートカード構築」が非公式フォーマットとして産声を上げたのです。

 

もちろん、基本土地が確保できたことで、『モダンホライゾン』で死にカード扱いされていた《虹色の眺望/Prismatic Vista(MH1)》が一気にスターダムを駆け上がることになります。

世間が『ゼンディカーの夜明け』のエクスペディションに着目する中、ひっそりと《虹色の眺望/Prismatic Vista(MH1)》のアートカードが売れていたとかいないとか。

 

 

 

 

また、モードを持つ両面土地は3種類登場しました。「白黒」「青黒」「白赤」の組み合わせは有利です。

実は《石重なる小道/Boulderloft Pathway(ZNR)》はアートカード(No.22)として存在するのですが、第1面の《枝重なる小道/Branchloft Pathway(ZNR)》がラインナップに存在しません。これを踏まえ、ルーリングとして「モードを持つ両面カード(MDFC)は「第1面」「第2面」の両方が存在するカードのみデッキに入れることができるとしています。

この辺りは他のカードにも影響を及ぼすので非常に重要です。

 

 

 

 

 

他にも、エクスペディションのイラストを用いたアートカードが多数収録されているお陰で、一部のフェッチランドやファストランドなど、モダン環境御用達の強力な多色土地カードが採用可能となりました。特に、「白青」というカラーは《溢れかえる岸辺/Flooded Strand(ZNE)》《金属海の沿岸/Seachrome Coast(ZNE)》《天界の列柱/Celestial Colonnade(ZNE)》という3種類の2色土地を採用できることとなり、他の色の組み合わせよりも1ランク上のマナ基盤となりました。

 

こうした基本でない土地を多用するデッキへの対策として、《不毛の大地/Wasteland(ZNE)》もラインナップされていたり、『モダンホライゾン』のイラストコレクションとしてラインナップされていた《虹色の眺望/Prismatic Vista(ZNE)》が再録されていたりと、アートカード構築の環境やユーザーを配慮しているような気がするのは気のせいでしょうか(気のせい)。

 

 

振り返ってみれば『ゼンディカーの夜明け』収録のアートカード81種のうち、土地に関係するものは実に30種類。

大量の土地カードがカードプールに大量投下されたことによって、デッキは形を成すようになり、ようやくマジックらしく遊ぶための土台が完成したといえます。

 

また、『ゼンディカーの夜明け』収録のアートカードは、1/20の確率でアーティストの箔押しスタンプ付きのものが封入されるようになりました。これは通常のカードでいうFoilのようなもので、デッキに構築以外のこだわりを持たせるユーザーを十分に満足させる仕掛けでした。

そもそもがマジックのカードではないというのに、そこを箔押しカードで統一するなど狂気の沙汰でしかないのですが…。まずこんなフォーマットを嗜むのは一種の狂人でしょうから、もはや驚くこともないでしょう。

 

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『アートカード構築』の歴史(カルドハイム編)

 

2021年2月に発売された『カルドハイム』でも、嬉しいことに「セット・ブースター」によるアートカード封入が続投となりました。

●アートカード・ギャラリーはこちら
MTG公式:『カルドハイム』のアート・カード

 

『ゼンディカーの夜明け』に引き続き、『カルドハイム』でも81種類のアートカードが新たに追加されています。

新たに「氷雪」メカニズムを持つカードが多数加わりました。

 

 

 

 

全ての氷雪関連カードは掲載できませんが、実は基本氷雪土地は《平地/Plains》のみである点に注意です。

一応《輝く霜/Glittering Frost(KHM)》で水増しすることも可能ですが、ゴリゴリに氷雪メカニズムに寄せたデッキの構築は、現段階でのカードプールではやや難しいところ。ちょっと惜しいですね。

 

 

 

 

もうひとつ注意点として、『カルドハイム』のアートカードにはモードを持つ両面カード(MDFC)が多くラインナップされています。

しかしながら、非常に残念なことに第1面、第2面共にアートカードにラインナップされているカードが極めて少なく、なんと2種類しかありません。どちらも揃っているのは《嘘の神、ヴァルキー/Valki, God of Lies(KHM)》と《樹の神、エシカ/Esika, God of the Tree(KHM)》のみで、大半が第2面のカードがラインナップされていません。

 

『ゼンディカーの夜明け』の項でも解説したように、「モードを持つ両面カード(MDFC)は「第1面」「第2面」の両方が存在するカードのみデッキに入れることができる」というルールから、多くのカードが使用できないのはなんとも残念なところです。

 

とばっちりを受けているカードとしては《世界樹/The World Tree(KHM)》でしょうか。

上記の理由から神の大半がデッキに入れられないので、せっかくのド派手な能力がどうしても生かせなくなってしまいます。

 

 

 

 

第1面と第2面が揃っていないMDFCのカードに多くの枠を取られてはいるものの、『カルドハイム』では《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス/Vorinclex, Monstrous Raider(KHM)》や《星界の大蛇、コーマ/Koma, Cosmos Serpent(KHM)》など、デッキのフィニッシャーとなる強力なカードが多く収録されています。

『ゼンディカーの夜明け』ほどの強烈なインパクトはありませんが、『カルドハイム』によってデッキの幅が広がったことは確かです。

 

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終わりに

 

さて、今回はアートカードを用いた「アートカード構築」について解説してきました。

誕生当初より見守り続けた虚無のフォーマットですが、とにかくアーティストさんによるアートが美麗すぎるので、少なくとも広告カードをぶつけ合うよりはテーブルの上がビジュアル的になんか良い感じです(語彙力)。

 

この記事を書いている2021年2月現在、アートカードを入手する方法は(シングルカードを除けば)『モダンホライゾン』のパックを購入するか、各セットの『セット・ブースター』を購入するか。『モダンホライゾン』は現在プレ値であることを考慮すると、『セット・ブースター』が買いやすいはずです。

 

『セット・ブースター』は通常の『ドラフト・ブースター』よりも価格設定が高いですが、レア2枚以上のパックの確率があまり高くありません。「ザ・リスト」という目玉はあるにせよ、その封入確率は1/4と低く、なんとなく割高に感じてしまう方も多いのではないでしょうか。しかし、「アートカード構築」に使えるカードはここでしか手に入らないんだ!と考えると、『セット・ブースター』に対する見方もちょっと変わったりするかも?

 

カードテキストが一切存在しないので、まるで美しい海外の絵ハガキをゲームカードとして使っているような気分に浸れる半面、「テキストをすべて暗記する」か、「別途テキスト確認用の資料を準備」しておかないとまるでゲームにならないのはご愛敬。初心者の方には全くお勧めしませんが、「普通」では満足できなくなってしまった方はチャレンジしてみてください。

全てがテキストレスの世界をご堪能あれ!

 

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